模擬授業第4回目となりました。それぞれの授業の観点が違って面白いですね。感想を述べます。何度も言いますが、評価ではありませんので、気に障ったらすみません。みなさんの省察(reflection)に役立つように私が思ったことをメモしています。ぜひ読んでさいごのレポートに生かしてください。
15 HY先生の授業
英語で授業をしようという意識があってよかったと思います。教師がそのような意識を持たないとなかなか「英語を使って教える」という授業を進めるのはむずかしいというのが現状です。ただ考えてほしいのは、英語を使う機会が与えられるべきは生徒だということです。教師が英語を発話することももちろん大切です。しかし、一方的ではコミュニケーションの意味がないかもしれません。教師と生徒、生徒と生徒のやりとり(interaction)の機会をぜひ考えてほしいと思いました。実際に中学校2年生を相手に教える場合はおそらく違う展開になるでしょう。HY先生はそれができると思います。授業展開については、少し考え過ぎたかもしれません。選んだ教材は、おそらく教科書の内容と指示のまま教えるほうが最も適切です。あえて、文法に焦点を当てる必要はありません。活動は、Speakingですので、Speakingをねらいとして、教科書のとおり展開すれば授業になるはずです。他の人にも言えることですが、教科書教材を扱うことは基本です。教科書から離れて別のことを教えることは生徒からすれば負担となるかもしれません。英語の授業は文法を教えることではないので、その点はよく考えてください。HY先生は、丁寧さ(politeness)を扱いました。よいことだと思います。あれこれ説明を加えるよりも、使っている場面は演出して理解してもらうように工夫したほうがよいと思いました。HY先生は真摯に教えていました。用意されたワークシートも熱心に作成してありました。ちょっと視点を変えれば、よい授業になります。期待します。
16 SM先生の授業
SM先生のアイディアはとてもよかったですね。教師は、まず、正しくていねいにきちんとおしえることが大事です。それとともに、生徒が英語学習に興味を持つように工夫するということが大切です。さらには、授業のそれぞれに生徒が理解しやすくなるような工夫をすることが求められます。SM先生は、シンプルですが、生徒が興味を示すような工夫を取り入れました。それを生徒とのやりとりの中で理解させるように展開しました。用意するカードや絵や写真は、授業を活性化させます。教科書とワークシートだけでは生徒の顔をあげさせることはむずかしいので、生徒の視線を前に向けさせるためには、SM先生のような工夫が必要です。その点は成功したと言えます。ただ大切な点は、比較には、大きさだけではなく、様々な面があるので、その点を考えた導入やタスクを考える費用があるでしょう。SM先生は教える態度もよかったと思います。生徒からは信頼されるのではないでしょうか。ぜひ教職に就いてもらいたいと思います。毎回の授業で様々な工夫をして生徒が喜んで英語の勉強をしてくれるのではないでしょうか。期待します。その意味から、よりよい授業をするために私のアドバイスは、やはり教科書の教材を中心に、教科書教材の内容を利用したほうが効果的だろうと思います。中学生にとって教科書教材はかなり重要です。生徒によっては教科書内容だけでも理解するのがたいへんな場合もあります。実際に授業をするときは、その点を考慮して、様々なアイディアを入れて工夫すると、生徒が興味を持つ授業が展開できると思います。
17 NY先生の授業
よい雰囲気で授業ができました。授業は明るく元気に進むことが大切です。その点でNY先生はぜひ教師として活躍していただきたいと思います。授業でも何でも「つかみ」は大切です。その点、模擬授業のスタートはよかったと思います。生徒とやりとりをしようとする姿勢はとても大切です。その方向で授業を考えていただきたいと思います。それを踏まえて、いくつか指摘しておきます。まず、選んだ教科書がよくなかったかもしれませんね。『Crown English Expression』は、表現をすることを目的としていますから、プレゼンテーションやエッセイなどの活動を授業ですることが本来の趣旨ですが、そのためには、文法が必要だというコンセプトです。実際には、文法理解が中心になってしまう科目です。そうすると、模擬授業では、本来であれば、比較の表現を使って表現することに焦点を当てて活動を考える必要があります。NY先生は、その点で迷ったと思います。ワークシートの構成にそれがよく表れていました。つまり、表現することと、文法理解の学習が混在するという教材になりました。生徒にとっては少し分かりづらい、あるいは、やりにくいタスクになるかもしれません。「文法理解は、表現のため」というコンセプトを生かせば、あまり迷うことはないだろうと思います。具体的には、ワークシートにある書き換えのタスクは表現を目標としたものではない可能性があります。さらに言えば、やはり教科書の文法ドリルで十分で、それをもとに授業では表現活動をやったほうがよいでしょう。期待します。
18 SM先生の授業
SM先生は明るく挨拶して、人柄のよい授業ができていました。教え方もていねいで生徒には愛されるのではないかと思います。その姿勢をずっと維持していけば教師としてはまちがいなく生徒にも支持されると思います。ぜひよい教師となれるように精進してください。ちょっと気になったのが、文法にこだわっている点です。それも文法は説明して、理解して、問題を解かせる、という考え方です。これはたぶん自分の学習者としての体験からくるものだと思います。でも、それは本来の言語教育法からするとあまり効果的とは言えません。つまり、コミュニケーション能力にはつながらない可能性が高いということです。文法は何のために学ぶのかということをもう少し考えてもらえれば、答えは簡単に見つかります。それを授業で実施する必要があります。聞く、発音する、読む、言える、話す、書く、などの練習をする必要があります。基本練習しなければ、生徒はできません。いきなり「ペアでやってください」は乱暴です。それからもう一つは、やはり教科書教材をきちんと理解させることを基本としてください。教科書の新出語句、文法、内容などを英語を使った活動を通して展開することが大切です。「花火」は興味深い内容です。それを英語でコミュニケーションするようにしましょう。期待してます。
19 KA先生の授業
KA先生は話が上手で、教え方も上手です。教師になることに何も問題ないと思います。逆に言うと、教え方がある程度固定しているので、今後もその教え方のスタイルは変わらないと思います。また、それでよいと思います。まちがいなく生徒に愛される先生になるでしょう。KA先生は高校1年生を対象とした授業でした。ねらいは、仮定法の理解と応用でした。仮定法の理解は学習者にはむずかしいとされています。また、それとは意識せず、I would like to 〜などと慣用的に使っています。また、仮定法のルールは実際にはかなり複雑です。現在では、入試問題にも細かいルールの知識を知っているかどうかという問いはあまり出されなくなりました。そう考えると、教科書教材を指導する場合、教科書の内容を英語を使いながら、教えることが、おそらく最もやりやすい授業展開になります。生徒の関心も112ページの写真にまず向かうはずです。それを扱わないで、本文の内容を読んで訳すでは効果的な活動とはならないかもしれません。KA先生がsmalll talkで生徒とやりとりした内容を教科書と関連させて展開し、教科書の内容を扱いながら、語句や文法の習熟を図る活動を行うというのが妥当な授業内容です。 KA先生は教育のことをよく考えています。ぜひ様々に研究して自分なりのよい授業方法を開発していただきたいと思います。期待してます。
以上、2013年も暮れていきます。早いもので模擬授業もあと1回になり、みなさんは最終的なレポートをまとめなくてはいけません。学ぶのはみなさんです。「教える」ことは自分で気づかないかぎり進歩しません。人の言われているとおりやっていても決してよい教師にはなりません。教師の仕事はクリエイティブです。だからこそ楽しいのです。
よりお年を。
乱筆乱文ごめんなさい。