最初に述べたように、模擬授業の良し悪しでこの授業が評価されるわけではありません。ですから失敗してもかまいませんが、工夫のない授業、楽する授業、適当にやる授業、なんの意味もない授業、チャレンジしない授業、準備不足の授業などは、この授業を受けている人にとって何の意味もない無駄な時間となります。
それは絶対にやめていただきたい
私は、あえて「こうしなさい」とは言いません。適当にやるのならば、それはそれで評価します。ただ誤解しないでいただきたいのは、私もこの授業でみなさんの模擬授業を見ながら考えています。勉強しようと思っているわけです。ぜひ工夫してください。よろしくお願いします。
今回模擬授業をした3人の人は自分なりに考えて努力したことは認めます。授業の際は多少失礼な言い方になったかもしれません。その点はぜひ最終のレポートに反映させてください。反論も堂々としてください。みなさんがこの授業を通して自律して学習(learner autonomy)しないかぎり、日本の英語教育は何も変わりません。本を読み、人の意見を聞いて、議論して、実践して、また、それを省察(reflection)して考えてください。
また、CLT (Communicative Language Teaching)について再度(?)(当然理解していると思っていたのですが)確認してください。日本の学習指導要領も基本はCLTです。世界の言語教育もそうです。それに反発することは、私は教育者として納得できません。よく理解できない人は次の文献を一読してください。
CLT
(クリックして、ダウンロードして読んでください。)
授業に正解はありません。あるのは結果です。
前置きが長くなりました。3人の授業の感想です。
3 KT先生の模擬授業
授業案はよく書かれていてとてもよかったです。ただ少し相談してもらえればアドバイスできました。KT先生のやろうとしていることは間違っていません。教科書の教材を基本として海外旅行やロンドンのことに興味を持たせるという考えはとてもよいことで、まったく間違っていません。しかし、教科書の教材をもっと研究して、ロンドンのことを活動の題材とすれば、おそらく展開は違っていたのではないでしょうか?London Travel GuideやLanding cardを用意しましたが、提示のしかたを考えるべきでしょう。LondonはPicture cardなどできちんと紹介し、生徒の興味を引きつけることです。そこを省略してはいけません。生徒はロンドンにも行ったことがないのですから、ビデオも見せることもできたでしょう。YouTubeにもかなり映像があります。教科書のTakuはおばさんの家に行くとい設定です。それも一人で行くという設定です。その話しと関連させて活動を行うことが大切です。指導案にはそれらしい設定が書いてありました。しかし、展開は違ってしまいました。これは1準備不足です。だれかを相手に授業をしてみれば、何がいけないのかがわかります。
それが足りなかったと思います。
英語授業で大切なことは「英語によるコミュニケーション能力の育成」です。ということは、英語によるやりとりを生徒に指導しなければいけません。KT先生がペア活動の中でさりげなくやっていたやりとりがありました。あれをきちんと生徒に見せて、練習をして、生徒にそのやりとりの機会を与えなければ、言語活動あるいはコミュニケーション活動をしたことにはなりません。この授業で学ばなければいけないことはそれです。
KT先生の意識の中に文法指導が強いようです。簡単に言うと「教える」という意識が強いようです。「教える」=「説明する」あるいは、「学ぶ」=「書く」というような意識が強いような気がします。それとともに、「活動する」= 「ペア、グループワーク」「発表する」ということの大切さも理解していますが、その「学び」と「活動」が結びついていないようです。しかし、教師はそれをしなければいけません。それを考えなければいけません。「この言い方を使って活動してください。わかった?何か質問ありますか?なければはいどうぞ」ということでは中学生はまったくできないでしょう。
その点を考えてください。すぐに分かります。が、「分かる」と「できる」は違います。工夫と練習しかありません。発想や準備した資料は決して間違っていません。ちょっと変えるだけでこの授業は極端によくなります。やろうとしていることは間違っていないので、ぜひ努力してください。期待しています。
4. NY先生の模擬授業
多少厳しいことを言ってしまったようですが、英語授業に対する考え方がやはり問題だと思います。以前に話したことがあるので、だいたいわかりますが、NY先生の言いたいことは半分事実です。中学校でも高校でも、文法訳読は相変わらず行われています。そのことをNY先生は盛んに強調します。それも一つのニーズです。悪いことではありません。しかし、私がお願いした模擬授業の課題は、「英語で授業をしてください。コミュニケーション能力を育成するためにコミュニケーション活動を入れて、授業を工夫してください」というような趣旨です。果たしてそれに応えたかどうかを考えてください。
「自分はこうして教えられたからこのような授業しかイメージできない。コミュニケーション授業とはどういうものかわからない」ということでした。中学校でも多くの先生が英語を使った活動を重視した授業を展開しています。YouTubeでもたくさん見られます。たとえば、
例1
例2
例3
私が言いたいのは、これを真似て授業をしなさいではありません。それではつまらないでしょう。NY先生の考え方をもとにした授業を開発すべきでしょう。
NY先生の授業を1年間受けたら、英語がどのくらい使える(聞く、話す、読む、書く)ようになったか?文型を理解して、単語を理解して、海外に行く手続きを知れば大丈夫でしょうか?読んで、訳して、問題をやって、テストで100点取っていれば、英語は使えるようになるでしょうか?英語の先生というのはそれでよいのでしょうか?もし、そうであれば、この授業で学ぶ意味はないでしょう。
NY先生がそうは考えていないことはよく分かっています。模擬授業でも多少それは見えました。ただ忙しかったのか?工夫がありませんでした。それがいけないと思います。文法訳読でも工夫をすればもっと面白い展開をしなければいけません。生徒をなめてはいけません。
NY先生には期待しますので、少し厳しい言い方ですが、もっと研究して、質問して、考えてください。最終レポートでそれを示してください。模擬授業をして、「これではいけない」と理解したはずです。それができるはずです。
5 WM先生の模擬授業
とてもよい発想だったと思います。WM先生のやろうとしたことはまったく問題ありません。その姿勢を大切にしてください。少しむずかしい問題でも、それを生徒にぶつけて考えさせることはとても大切です。原爆の問題もただ「かわいそう」「戦争を二度としてはいけない」と終わらせるだけでは、生徒も満足しません。私は大賛成です。その意味でWM先生の試みはおもしろいと思いました。
問題は、指導案にはっきりと出ていましたが、生徒の活動をイメージできていないことです。「大学生相手だからなんとかなるだろう」というように考えたかもしれません。あるいは、まったくの準備不足だったのかもしれません。本人だけが知っているでしょう。教材を準備するだけでは授業ではありません。授業では、生徒への指示、活動のための工夫、その気にさせるための展開と教材の扱いなどなど、多くのことが要求されます。適当にやれば適当な結果しか帰ってきません。
Trumanが、教科書の内容とどう結びつくのか丁寧な展開(シナリオ)が必要です。英語で授業をするということの意味は、生徒がその授業のときだけでも英語に触れる時間をつくることです。英語の授業で英語を聞き、話し、読み、書くということが、コミュニケーションとしてなければ、生徒の英語力はつきません。個人個人で英語を使って、授業では先生が説明し、課題を与えるというだけでは、やはり無理でしょう。
原爆の写真、Trumanがだれかなど、英語で紙芝居のようにして提示できたのではないでしょうか?生徒が自分で読んで自分で理解できるということはまずありません。大学生を相手にするということを前提とした模擬授業になってしまいました。
オーセンティックな教材を使うときでも、教科書内容との関連を生徒が納得できるような導入をすべきです。また、授業は、やりとりを工夫しながら、QAで進む方がよいでしょう。問いに対する答えを聞くでは、コミュニケーションとはなりません。英語授業はコミュニケーション活動が基本です。日本の英語授業がどうであれ、ELTの流れは、communicative language teaching (CLT)です。学習指導要領もそうです。それに対して、もし反発するならば、CLT に負けない授業を考えるべきでしょう。
WM先生の発想はけっこうですが、中途半端ではいけません。期待します。
さて、今回は厳しいことを書かなければいけませんでした。すべて私の責任です。私の意図することがまったく伝わっていなかったということです。もう少し率直に話す必要があったのかもしれません。みなさんの意欲をもう少し喚起する必要があったのかもしれません。私がちょっと忙しく疲れていたせいかもしれません。原因がわかりませんが、一つ言えることは、確かにみなさんとの交流が不足していたことです。確かに私の意図は伝わっていなかったようです。
とにかくみなさんに期待するしかない。反省しきりです。
ざっと思いつくことを書きました。誤解もあるでしょう。反論もあるでしょう。私を信頼しないということもあるでしょう。とにかく、この授業をとることによって、みなさんにとって意味ある時間にしてください。どうか宜しくお願いします。
乱筆乱文にて失礼。これは私の感想です。メモです。