模擬授業も3回目です。授業をした後に直接いろいろと話ができるともっと効果的に授業について考えることができると思いますが、ブログだけだとやはり伝わりにくいです。
現在の言語教育の世界的な流れは、やはり、Communicative Language Teaching (CLT)です。学習者が英語を学ぶ目的は、「英語が使えるようになりたい」です。では、どうするか?ということになります。
それともう一つ考えていただきたいのは、授業の主役はだれかということです。教師ではないということです。もちろん生徒が何をどう学習したかです。生徒役をしている人は、自分が中学生や高校生の立場にたってどの程度考えらえるかがポイントです。自分だけの経験で授業を考えることは危険です。また、頭の中だけで考えた授業もうまくいきません。実践あるのみです。実践してうまくいかないことをどれだけ修正していけるかが、みなさんが「よい教師」となれるかどうかのカギだと思います。
さて、感想です。
6. AM先生の授業
AM先生が実施しようとしたことはよくわかります。発想もおもしろいし、個性豊かで、もっと工夫すると生徒にとっておもしろい授業になるでしょう。問題は、おそらく練習していない、つまり、シミュレーションしていない、ということにあります。これはとても危険です。教育実習では避けるべきです。その点は、実際に授業をしたAM先生が一番よく分かったでしょう。生徒ととのやりとり(interaction)があまり活発ではなく、生徒に「はい、やって!」となりました。
Keep writing (Which color do you like best?)は、おもしろい活動ですが、設定をもう少し明確にしないと高校生は書けないでしょう。書いた内容をペアで共有するとしましたが、もしそうであれば、コミュニケーション活動として、どうペア活動をするのか示す必要があります。また、書いた内容には間違いが当然ありますから、そのフィードバックと評価をどのようにするのかを明確にしなければいけません。その点があいまいでした。
原因は、その前の色の導入(ここは復習でなければなりませんが)の意図が不明確で、内容の興味が不消化だったことです。つまり、活動のひとつひとつが次の活動とのつながりがよくわかりませんでした。AM先生の頭の中では、あるプランができているのでしょうが、実際に実行可能かどうかを検証していませんでした。
授業をどう展開するかをイメージし、実施の手順をシミュレーションし、うまくいかない部分やむずかしい部分の修正をし、さらには、生徒がつまずいたらどうするか?どうフィードバックし、その活動が生徒にとって何の意味があるのか?その活動をどう評価するのか?など、どれだけていねいに展開できるかです。
やはり、AM先生の授業は、その「ていねいさ」が欠けていました。それは用意された資料でもわかります。逆に、その大胆さがAM先生の良さでもあります。そのバランスをうまくとって授業を考えてもらいたいと思いました。
問題も多々ありましたが、期待の持てる授業でした。ありがとう。
7. KY先生の模擬授業
AM先生とは対照的な授業でした。授業は自分の個性を生かすことが重要だと思いました。ただ誰かの真似をするだけでは芸がありません。また、日々よい実践を続けることが大切なので無理をしてはいけません。授業は決してパフォーマンスや芝居だとは思いません。「学び」を演出することです。その点KY先生の授業は個性がよく出ていました。
多少気になったのは、単元の到達目標が多すぎることでした。CAN-DOで設定している点はよいですが、一つの単元で、多くても5〜6程度に設定するほうが、中学生には優しいでしょう。それから指導計画ですが、8時間はたぶん多すぎると思います。本時のSpeaking Plus 1は1時間配当です。ということは、本来の教科書の意図は、文法に焦点を当てることではなく、「話す」活動にあります。
それはさておいて、KY先生の文法指導に焦点を当てた授業はおもしろいものでした。あえて言えば、「話す」ことが活動の主体ですから、英語でやりとりしながら、特に「話す」ことの文法に焦点を当てた展開が可能だったのではないかと思います。と言うのは、「依頼」を扱う教材なので、場面を提示することが大切です。おそらく、「依頼」の場面をたくさん設定して、推測し、考えさせることで、may, can, couldなどの使い方については指導できたのではないでしょうか?実際に場面を意識して、may, can, couldを使うことで定着はより効果的に図れるはずです。
文法は何のために教えるか?ということの基本は、やはりコミュニケーションとして英語が使えるためでしょう。受験のためではありません。でも、生徒の中には、文法という言語のしくみに興味を持つ人もいます。しくみが分からないと先に進めない人もいます。ただ、英語は使えばよい、おぼえればよいというものでもありません。なぜ、may, can, couldという法助動詞の働きが違うのか?また、どう違うのか?など、言語の働きはおもしろいものです。もちろん、生徒の中にはそれが苦手な人もいます。
教師は、自分の興味を生徒に押し付けるのはやめたほうがよいです。自分の興味は興味として多様な引き出しを持つことが大切です。その点、KY先生のていねいさはよかったと思います。授業中に「thank you」と何回も言っていました。これはとても大切です。
ありがとう。
8. IN先生の模擬授業
IN先生は、模擬授業の資料の準備で遅れてしまいました。これも個性ですが、やはり準備はきちんとしましょう。指導案の構成が少しよくわかりませんでした。何が復習で、何が新しい学習なのか?指導案を見ただけではわかりません。また、実際の授業でもその点がごちゃごちゃになっていたようです。中学校2年生では、その点をきちんと整理して、ていねいに提示しないと大きな失敗となります。気をつけてください。
ただ、授業にはそれぞれの活動で工夫がなされていました。よい点が多々ありました。ちょっと自信なさそうに小さい声になりましたが、真摯な姿勢が出ていたので、実際の生徒の前でもその姿勢で授業をすれば特に問題はないでしょう。Small talkも自然に英語を提示していたのでよかったです。ただ、グループ活動の説明はもう少し整理してうまくするべきでしょう。効果的に時間は使うべきです。きちんと考えれば、英語だけでも十分指示できる内容でした。活動自体はとてもおもしろく、工夫された内容です。
授業をするときには、やはりその先生自身の個性や特技は生かすべきだと思います。IN先生は絵がとても上手で、実にていねいにピクチャーボードを作成していました。これはもっと堂々と提示すべきでした。もったいない。
授業は意外と単純で、先生の熱心さが多くの活動の前提にあります。先生が工夫しない、あるいは、いい加減に授業をすると、生徒もいい加減になります。先生が熱心で、工夫をしてくれると、生徒は興味を示し、頼りないと、助けてくれる生徒がいます。生徒のそのような支援してくれる姿勢は、学習としても有効な活動で、ぜひ活用すべきです。先生がすべて仕切らなくてもよいのです。授業の理想は、learner centeredness(学習者中心)です。中学生にとってもそれは重要です。
この模擬授業では、大学生が相手です。どうしても大学生として活動してしまいます。それはそれとしても、これが中学生だったら、これが高校生だったらと、想像できる力、予想できる力、そのために準備できる力が、教師の力でもあります。分からないから「できない」では先に進みません。IN先生は、その点で、中学生を想定してよく考えましたが、授業の展開においてもう少し工夫する余地があります。
IN先生が用意した教材の絵
結構時間かかったと思います。が、これって生徒は喜びます。ありがとう。
次回も期待しています。それぞれが勉強して、工夫して、よい時間としてください。
