2015年11月21日土曜日

模擬授業4

やはり「見て、考える」ことで少しずつ授業が進化していきますね。面白いアイディアが出てきて、工夫してきました。それとともに、みなさん、自分の強い思い込みや自身の経験からは出られないということもよくわかります。それは悪いことばかりではありませんが、教師としては、自分の思いや信念(beliefs)というものが他者(生徒)にもどの程度うまく伝わり、共感を得られるかが、鍵だと思います。

このような授業を、肯定的に捉え、しっかりと自分自身の思考(teacher thinking)と省察(teacher reflection)に生かし、教える知識(teacher knowledge)を高めるために、生かしてほしいと思います。効果的な「学びの共同体(community of learning)」としてください。さて、感想です。

9 AK先生の模擬授業

生徒との英語でのやりとり(interaction)がうまくできていました。Fair Tradeに関して簡単なやりとりがありましたが、あのあたりをもっと練習すべきだったと思います。ワークシートには説明がありましたが、中学生にとってはやはり教師による興味や理解の支援が必要です。教科書の題材としてもそちらの方に重点を置いているのではないかと思いますが、添えられた資料にはそれがないのでよく分かりません。私が教師だったら、文法にばかりこだわらず、Fair Tradeのことなどの理解をふくらませて活動を考えます。

AK先生は、教えることの中心は文法にあると考えているようです。現在完了の経験に焦点を当てました。生徒とのやりとりを上手にしていたのですが、基本は文法構造の説明となり、文法構造の定着を図る練習です。指導案もほぼそのように構成されていました。文法構造に焦点を当てるとなると、Focus on formの考え方を取り入れると、場面や状況をもっとうまく設定する必要があります。Have you ever 〜?だけの練習だと、学習者は、everがいつも必要だと思ってしまうかもしれません。また、継続、経験、完了というような意味の違いも決して明確ではありません。現在完了という時制の理解を長い時間かけて学習する機会を授業で提供することを心がけたほうが、生徒には親切なのではないでしょうか?

生徒との英語のやりとりがうまくできるので、文法や語彙や発音の細かいことばかりを教えることを考えず、広くコミュニケーション能力としての文法や語彙や発音の指導を工夫すると、もっと生徒にとって役立つ授業が展開できると思いました。授業では取り上げられませんでしたが、ワークシートの内容はとても面白くできていました。中学生にはむずかしい内容ですが、授業展開では、ワークシートの内容をもっと中学生でもできるように、また、焦点を当てている文法項目が活用できるように工夫するといいでしょう。

Fair Trade: http://schools.fairtrade.org.uk/resources/lesson-kits

ありがとう。

10. SN先生の模擬授業

英語で授業をするという姿勢は大切です。うまくできました。ポリシーとして「英語で教える」という気持ちをもって授業をすることは、生徒にとっては大きな刺激となります。世界のあちらこちらへ行っていろいろな先生に会うと、「英語で授業をする」と決めて、授業をしている人も多いです。日本ではそれが不自然なように受け取られがちですが、かえって「英語の授業は英語でする」が自然です。ただ大切なことは生徒が英語が理解できない場合にどうするかでしょう。一般的に言って、生徒がわからないのに英語だけで授業をするのは無理だと思います。母語は当然必要でしょう。SN先生は、自然な感じで生徒と英語でやりとりしていました。上手です。特に、ちょっとむずかしい表現が出てきた場合に、上手に言い換えたり、意味の近いことばを使っていました。これは、communication strategiesと呼ばれているコミュニケーション能力の一つです。教師がこれをうまく使うと生徒も理解できるようになり、コミュニケーションは円滑にいきます。SN先生は上手でした。

ちょっと残念だったのは、当初指導案を見せてもらったときにも指摘したような気がするのですが、生徒の活動です。先生がしゃべり過ぎてしまいました。でも、これは模擬授業ですから、よい練習になったのではないでしょうか?実際の授業では、もっと生徒の活動、生徒の発話に工夫すべきでしょう。大学生でも少し詰まっていましたから、高校生ではなおさらです。

挨拶を文化とからめて展開した点はおもしろかったです。生徒にもっと考えさせて、みんなが発言できるようにできたらうまくいくのではないでしょうか?生徒に無理やり英語だけを強制することなく、日本語でも答えてよいというような雰囲気を作ると、先生が英語で話し続けることの意義が出てきます。これって、CLILです。SN先生が興味を持ってくれるとうれしいですね。

指導案全体はちょっと問題があるかもしれません。やはり教科書題材の理解と習熟が第1ですので、それに授業活動をうまく組み合わせる必要があります。今回は一つの実験として評価に価すると思いますが、授業展開については、まず基本をおさえるようにしてください。

ありがとう。

11. SM先生の模擬授業

SM先生も自然な英語の使い方をしていて、私は好きな感じです。実際の高校生でもうまくいくのではないかと思います。大切なことは、ことばを大切にすることと、ことばを意識することだと思います。日本でよく批判される英語教育は、あまりにも知識の正確さに焦点を当てることです。また、授業自体が、文法の細かい知識の蓄積と正確な意味の理解です。それが英語でも日本語でも要求されるので、あまり勉強が好きではない学習者は嫌になってしまいます。また、逆に、コミュニケーションができればいい加減な英語でもよいという指導も批判されます。その点、SM先生は、英語と日本語をきちんと分けて考えるという展開を授業に取り入れようとしました。つまり、目標や活動を生徒に見えるようにしている点でよいと思います。

英語での活動では、特にsmall talkがよかったです。高校生にはもう少しサポートなり、練習が必要ですが、授業でこれがうまくできたら生徒にとっても有益ではないでしょうか?あるタスクがいつも設定され、機械的に何かの目的のためにだけ活動し、評価を気にするよりも英語を使うという目標のためには、このような活動が大切です。最初は、先生がうまくsmall talkをモデルとして示し、そこで使われた表現をまねて、生徒同士でできれば自然なコミュニケーション活動ができるようなイメージを持ちました。

単語のおぼえかたなどの学習方法(study skills)を指導することも教師にとっては重要な仕事です。模擬授業や教育実習では短絡的な指導をせざるを得ませんが、教師にとって最も大切なことは生徒の学習支援です。生徒が自分で学習できるように促す道筋を作ることです。これは、学習者の自律(learner autonomy)として、一つの大きな目標です。SM先生は、日本語でそのことに触れました。よいことだと思います。word formationはprefix, suffixなどの用語を使わなくても具体的に例を示して指導し、推測させることで、興味をおぼえるでしょう。このような学習活動も大切です。

乱筆乱文ですみません。そろそろ出かけなくてはいけません。

World Association of Lesson Studies (Wals 2015)

おもしろい学会です。

一つ言い忘れました。この模擬授業はうまく行ったか行かないかということより、みなさんがこれらの活動を通じてどう考えたが重要です。そのことを忘れないでください。ということでレポートが最も重要です。それがなければこの授業は無意味です。

よろしくお願いします。