湿気がすごくて嫌な1日でしたが、本日二人が模擬授業をしてくれました。回を重ねるにつれ、指導案も授業の要領もうまくなっていくのを見るのは嬉しいものです。また、自分の個性を生かす工夫がそれぞれ感じられて、これまでのどの模擬授業も見ていて参考になります。
この授業は、いかに授業を成功させるかというよりは、実際に教育実習に行った時に、あるいは、将来英語授業を中学校や高校で教えるにあたり、どのように授業を実践していくかのプロセスの基本を理解することです。うまく行ったか行かないかよりも、どう考え、どう準備し、授業の際にどう判断して、その後どう省察したか、です。みなさんのレポートに期待します。
さて、コメントです。
4 模擬授業4
K2先生、高校2年生のEnglish Communication2の授業を行いました。実際、多分学習指導要領が意図した内容にほぼ近い授業だったと思います。展開も、挨拶、復習、新しい学習内容の導入(語句、本文内容の確認)、コミュニケーション活動、まとめ、となっていて、典型的なものです。授業の流れはもう一歩でしたが、基本的には、「英語で授業をする」「英語で思考する」「4技能を総合的に扱って活動する」「考えを述べる」などがあって、良い授業だったと思います。
ただ、現実的には、もう少し丁寧な手順が必要で、それがないとうまく進行しないでしょう。進行しなくなると、日本語が使われ、従来の文法訳読に陥ってしまう可能性があります。要するに、K2先生の模擬授業はオーソドックスな授業なので、良い、面白い授業となる鍵は、生徒が英語を授業中にうまく使える環境を作ることです。英語が単なる学習言語ではなく、つまり、大学に行くためだけの知識ではなく、何かを学ぶための言語として機能しているかどうか。高校2年生ではそれが求められます。
高校生の英語の授業は、ヨーロッパなどで見ると、ほとんどがK2先生が目指しているような内容です。特に最後のWhen do you need to make a good choice in your life?などという質問は、確かに狙い通りで、答えを求めるものではなく、生徒にいろいろなことを考えさせる質問です。ヨーロッパなどでは、ディスカッションとかになるかもしれません。また、エッセイのテーマになるかもしれません。生徒は、この質問に答えるために、何かを読んだり、調べたりしなければいけません。
これは、いわゆるアクティブ・ラーニングにもつながるし、生徒にとっては、大学の学習や将来の仕事にもつながります。言語の学習は言語習得だけにとどまるようではあまり意味がありません。その意味でK2先生の教える姿勢は良いと思います。
教師は自分の個性を生かすべきで、誰かの真似をする必要はありませんが、望むべくは、明確でわかり易い指示でしょう。生徒の発言はよく聞いていて、やりとりも上手です。皆さんも指摘した通りです。授業がうまく行かないときは、だいたい指示が明確でなかったり、生徒に対する対応がいい加減だったりする時です。その点を注意すれば、K2先生の個性は生きるのではないでしょうか?真摯な姿勢は生徒によくわかります。時折見せる笑顔も好印象でしょう。
結構教師は合っている職業かもしれません。自信を持って取り組んでください。ありがとう。
5 模擬授業5
Y先生の授業は大変よく準備された内容でした。授業展開も落ち着いていて、教師になって活躍して欲しいと思いました。高校1年生の授業内容としては多少難しい部分もあったように思いますが、展開次第ではうまく行くのではないでしょうか?これからの英語授業は、ICTの機能を最大限に利用する授業が望まれます。教科書内容だけを教えているだけでは、生徒は満足しないので、教師は可能な限り多くの周辺の情報を提供することが大切です。その意味で多くの興味深い内容が盛り込んであり、生徒の興味を適切に維持していくことでしょう。
授業案の展開はK2先生と似ていますが、出てきたものはかなり違います。高校生になるとどうしても内容が深くなりますから、あまり英語英語ばかりにこだわっているのは面白くないです。その点で、writers without borders の内容に焦点を当て、文学や言語を興味深く扱いました。ドイツ語を例に出して、多様な言語学習に興味を持たせることは、高校1年生には適切で、教科書教材の趣旨からして良いことです。
言語材料の扱いですが、授業をするときは、4技能、文法、語彙、発音、文化、内容などについてどう扱うかを考えるとそれほど大きな失敗はしません。文法、語彙は比較的明瞭に示されることが多いですが、教師としては、どこに重点を当てるかがポイントです。ここでは、関係詞、分祠、The fact (problem, ...) is that という表現です。その他語句はかなり豊富ですから何をどう扱うかです。Part 3では、おそらく、私だったら、Part 1と2で扱われた文法をおさらいして、語句に焦点を当てるでしょう。but, yet, howeverなどの表現も大切ですが、その場合は、論理的な思考を促す意味で扱えば良いと思いますが、もっと他に多様な表現があります。これらの扱う言語材料は、4技能の活動や内容と関連しますから、これが正解というわけではなく、教師の意思決定に委ねられます。
この教師の意思決定(decision making)は、授業ではかなり重要なことです。すでにこの授業では5人の人が模擬授業をしましたが、かなり違います。同じ教材を扱ったとしても、異なった授業になることでしょう。これは教師の思考と密接に関連するからです。Y先生は、その意味からかなり細かい点まで準備していました。教師としてはこの準備にどれくらい時間や手間をかけるかが、授業の良し悪しを決定づけます。かなり時間がかかったと思いますが、結果は良かったと思います。
ただすでに授業中も指摘があったように、discussion活動の部分は実際の高校生には厳しいです。より丁寧なアプローチが必要です。ただし、これは実際に生徒を目の前にすれば、多分対応ができると思います。Y先生はそのような感性を持っていると思いました。落ち着きがあり、生徒が安心して授業ができる。そのような雰囲気を持っています。
前回は中学生で今回は高校でした。それぞれの学年でかなりアプローチは変わるでしょう。しかし、自分の個性は生かすべきです。人の真似をする必要はありません。ただし、英語の授業は、やはり、英語という言語がコミュニケーションとして使えることを目標にすべきでしょう。そのことを考えて、授業の目標は、英語の何がどこまでできるようになったかを常に考えることが大切だと、私は思います。
ありがとう。面白くなってきました。次回も期待です。
乱筆乱文ご容赦ください。