2015年12月6日日曜日

模擬授業5

模擬授業もいよいよ後半です。実際の教育実習や授業を想定することはやはりむずかしいことですが、大切なことは模擬授業で、授業を実施するためのプロセスを学ぶことだと思います。私にはそれを「教える」ことはできません。自分で掴むしかないでしょう。プロセスとはざっと整理すると次のようになるでしょうか?

(授業準備)
1 授業の目標設定
2 教材理解のための研究
3 教材を扱うための準備(資料など)
4 学習のための教材の選択と整理
5 目標に沿った授業展開と活動(時間配分)
6 指導案の作成(教材、教具、ワークシート、板書、宿題などの確認)
7 評価の方法の確認

(授業実施)
8 授業展開中の確認と修正
9 生徒とのやりとり
10 生徒の理解の確認
11 活動の確認と評価

(授業後)
12 生徒の理解の確認
13 授業のふりかえり
14 授業の修正点の整理
15 次回への課題

模擬授業には成功も失敗もありますが、あくまでも模擬なので、実験として考えてけっこうです。また、生徒役、観察の立場で授業を見て、何に気づくかが大切です。人の授業を真似するのではなく、常にクリエイティブであるべきだといつも思っています。

その点から今回は面白かったです。以下、感想です。

11 UE先生の授業

思ったとおりいかないということがよくわかった授業だと思います。失敗と言えば失敗ですが、やろうとしたことは大切なことです。これを次に生かしましょう。もし生かせなければ、この模擬授業は無駄だったということになります。無駄にしないようにしっかりと考えてください。ただUE先生の「教える」姿勢はよいと思います。工夫があるからです。Information gapというある意味でCLTでは古典的なタスクを行いました。うまくいかなかった大きな原因は、簡単です。シミュレーションがなされていなかったということです。だれかを相手に一度練習すれば問題が明らかになります。実際の授業では、それを必ず行ってください。一人で頭の中で考えていても、そのとおりにいきません。この点がいわゆるプレゼンテーションとは大きく違います。授業は相手があり、対象となる生徒が授業で設定した目標を達成したかどうかが大切です。自分がやりたいことをやって、「あとは野となれ山となれ」ではいけません。教師の仕事の中心は、生徒の学習の世話をする、支援する、ということです。ただ「教える」だけでは教師としては不十分でしょう。

UE先生は、その準備が少し欠けていました。指導案を見ると、過去進行形の定着を図るための活動を模擬授業では実践してみたわけです。しかし、授業のねらいは、教科書の内容にある春の行事であり、文化的なことなどを考えながら、英語のコミュニケーション能力を高めることです。中学生は、基礎基本がまず大切です。その点をていねいに教え、学びの活動を支援することが、教師の主たる仕事です。UE先生のタスクに対して準備した情熱をぜひこちらにもていねいに向けてください。

ていねいさというのは、板書の書き方に現れます。中学生の学習にとっては、やはり板書したことが、その授業で習うポイントです。

It is Friday. It is September 4th (fourth). It is cloudy. It is 5 o'clock. ....

などの挨拶もきちんと毎回毎回ていねいに、発音、スペル、コミュニケーションなど指導することが大切です。英語が苦手な子は必ずいます。

「なんとかなるだろう」は危険なのでできるかぎり避けるようにしましょう。

でも、UE先生のアイディアと授業に対する姿勢はとてもよいので、めげずにがんばってください。授業は自分も楽しむことが重要です。指導案はよくていねいに書かれていましたが、実際の授業を想定できているかがポイントです。かなり準備したことはよくわかりますので、その気持ちでさらに向上してください。あとはなんでもだれかに質問したり、確認したりすることです。そうすれば、それほど大きな失敗はしないはずです。そのためにはつねに基本に立ち返ることでしょう。

ありがとう。

12 HK先生の授業

HK先生はけっこう楽しんで授業をしていました。とてもよい姿勢だと思います。ただ大切なことは、授業の主役は生徒なので、自分の考え方を生徒に押し付けるのはけっしてよいことではありません。教師の個性はもちろん重要です。また教師の思考は授業の基本です。それぞれのバックグラウンドや文化も当然教師の力量を構成する大切な要素です。そのことを授業で試したみたということでしょう。いい先生になると思います。が、もっと勉強して、授業を考えて、工夫してみてください。ちょっと工夫がたりなかったように思います。個人的にはちょっと面白みに欠けていたと思います。

理由は、やはり、高校時代の従来の授業に引きづられていて、文法訳読の指導法から、あるいは、従来の大学受験の知識を基盤とした知識の構築という教え方から脱却できていない授業構成だったということです。これでは、HK先生の良さが出ていないと思います。もっと勉強して英語教育を考えて、何か変えてほしいなと思いました。具体的に言うと、関係詞のwhichを「どげな」と説明していた点です。「どげな」は面白い考え方ですが、コミュニケーション能力という点ではどうでしょうか?英語力という点ではどうでしょうか?ワークシートもやはり文法理解のための、あるいは、学習のための、という構成でした。教科書は、interesting languagesという内容で、日本の文化がアメリカで扱われるかなどを扱ったものです。これと活動も関連させる必要があります。本文もスピーチです。教科書はやはり基本ですので、単に日本語と英語の対比ではなく展開する必要があったのではと思います。「上を向いて歩こう」には様々な背景があります。生徒はそれに興味を持つかもしれません。

ちょっと厳しいことを書きましたが、それは期待しているという意味で考えてください。アイディアや教える姿勢はとてもよかったです。私自身も「どげな」には考えさせられました。このアイディアは、あまり独りよがりにならなければ、きっと生徒には受けるでしょう。しかし、英語の授業は何が目標を考える必要があります。やはりコミュニケーション能力の育成が目標です。それを忘れないように、様々なアイディアを試してみてください。工夫、工夫、工夫の連続です。

期待してます。

13. TS先生の授業

なかなかおもしろい授業でした。TS先生の個性がよい意味でしっかりと出ていて、芯のしっかりとした安心できる授業でした。しかし、指導案については、単元の目標、指導計画、本時のねらいなどは明確に書く必要があります。再度考えてみてください。たとえば、単元の目標の「基本文」とは何か?「失敗エピソード」を理解するとは何か?失敗から学んだ自分の経験とは何か?など。本時のねらいの「want + 人 + 動詞の過去分詞形(原形?)

しかし、書き方はやはり再考してもらいたいですが、本時のねらいの論理的思考についてのアプローチはとてもよい発想です。日本の授業ではどうしても欠けていることが多いような視点だと思います。実際の授業ではもう少し工夫する必要がありますが、この点は授業の際に、TS先生だけではなく考えて教育実習などで授業を考えるとよいと思います。

歌を扱うことはとてもよいことです。生徒は喜ぶでしょう。ただし、これも様々な使い方があるので、ぜひ研究してください。扱いは授業時間全体の長くても5分程度です。あまり時間を使いすぎると授業になりません。指導案を見た限りでは、教科書の部分がコミュニケーション活動になっていないので、ここは工夫する必要があるでしょう。教科書内容を英語で教え、その中で論理構成を指導することが大切です。教科書内容を軽く扱うことは危険です。

英語の教師を目指すとすれば、どのような生徒であっても、ていねいに、生徒の能力に応じて教えられる必要があります。その際には、教科書題材を大切にして、それを基本として、コミュニケーション能力の育成することです。歌やビデオや新聞記事などオーセンティックな教材は教科書題材と関連して選択する必要があります。ぜひその点を考えてください。

TS先生がやろうとしたことはとてもよいことです。ぜひその発想は大切にしてください。また、授業に対する姿勢も教師向きです。おそらく上手にできるでしょう。ただ、それがよい教師かどうかは別です。教師としてはもっとこの機会に勉強してください。それは様々なことに応用できるはずです。期待しています。

今回は、3人とも実に異なるアプローチで興味深く見させてもらいました。勉強になりました。ありがとう。