今年は、例年の授業と違い、形式も内容も変えました。理由は、人数が少ないことと、実施時期が違うということです。そうすると不思議なことに、同じことをしているつもりでも、結果はかなり変わってしまうようだと思います。
まず、一つは、指導案です。指導案は「授業をどう展開するのか?」という計画書です。細かく設定しておく必要があります。特に、初期段階の場合は、実際にシミュレーションする必要があります。ぶっつけ本番は危険です。なぜかと言えば、生徒にとってはその授業は一度きりで貴重な時間だからです。
英語授業の基本的な構成は、別のところに書いてありますが、下記の通りです。指導案はもちろん日本語でかまいませんが、ここでは英語で説明してあります。同じです。
Lesson structure
Basic teaching procedures for one lesson
導入
1 Greetings / Attendance
2 Warmup activities
3 Review work
展開
4 Introducing today's learning points
4.1 Presentation of key points (sentence structure, grammar, culture, topic, etc)
4.2 Vocabulary (words and phrases)
4.3 Practice for understanding (repetition, etc.)
4.4 Practice for use (interaction, etc.)
4.5 Listening to and reading the text (reading aloud, etc.)
4.5 Checking comprehension (Q and A)
5. Production activities
整理
6. Consolidation (summary, note taking, homework, etc.)
その点を考慮して、模擬授業1にコメントします。
模擬樹業1
I先生は、元気があり、気持ちがあり、力があり、教師としては望ましい人だと思いました。教師にになればおそらく良い先生になることは間違いないでしょう。正しい、授業に関して強い自分が経験した教師像があります。それは、教師というのは「教える人」「英語の勉強は、扼すこと、文法を理解すること、英語が使われる背景を説明し興味を持ってもらうこと」などなどです。どれも大切なことで、日本の多くの英語教師(特に高校の先生)が実際やっています。
しかし、英語の授業はそうであってはいけないということを、多くの英語教育のリサーチが示しています。ぜひそのことを理解してもらいたいと思います。多くの文献があります。ぜひ勉強して欲しいです。一例に次のような文献がウェブにあります。
Communicative Language Teaching
さて、授業はとてもテンポが良く、目標も明確でしたが、生徒役の人が指摘した通り、英語の授業?という疑問です。英語の授業の目標は、「コミュニケーション能力の育成」です。さらには、中学生であれば、英語力の到達目標は、CEFRでA1です。
A2
Can understand sentences and frequently used expressions related to areas of most immediate relevance (e.g. very basic personal and family information, shopping, local geography, employment). Can communicate in simple and routine tasks requiring a simple and direct exchange of information on familiar and routine matters. Can describe in simple terms aspects of his/her background, immediate environment and matters in areas of immediate need.
英語の授業の基本は、これを育成するための「活動」を行うことです。その活動ををどう工夫するかです。そのために教師は英語を使い、生徒を英語に触れさせることです。
しかし、I先生はとても面白い観点で英語授業をしました。それは教科書が扱っている題材内容、背景です。アメリカの黒人差別(公民権)という問題です。Martin Luther King Jrを取り上げています。私だったら、模擬授業では、取り上げた次のパートを扱います。活動しやすいからです。また、同じ場所だったら、もうちょっと具体的に事例をあげて、現在も起きている問題から、英語でやりとりしながら導入します。その際には、相当の教材研究をして素材を調べて、使える英語を整えて丁寧にやります。
I先生は実際そこまでの準備をしていないと思います。教育実習ではぜひ生徒のために、英語を生徒が使える(学ぶ)授業をしてもらいたいと思います。
授業の際にも言いましたが、授業を作る観点はとても良いので、ちょっと変えるだけで英語授業を大きく変わります。その素養を十分に持っています。ただ単に教員免許状を取得するためだけに英語科教育法を学ぶのではなく、この機会に真剣に探求してください。それは必ず他のことにも役立ちます。
ポイントは、
1 生徒が英語に触れる・使う機会を作る
2 先生が日本語で説明する時間を少なくする
3 コミュニケーション活動を工夫する
4 文法や訳を指導することが英語の授業ではない
5 文化は説明するのではなく、考えさせる
6 多くのことを教えるのではなく、言語活動する機会を与える
です。ありがとう。考えさせる授業でした。