19 SJ先生の授業
SJ先生は中学校3年生を対象とした授業で、パワーポイントなども使い、工夫をこらした授業でした。指導案もよく考えて構成されていて、授業をすることに対する熱意を感じました。実際に教師となれば、SJ先生に教えてもらう生徒は熱心に英語を勉強するのではないでしょうか。英語も自然に使われていて、生徒は最初とまどうかもしれませんが、次第に慣れてほぼ理解され、スムーズに「英語で授業」はできると思います。
さて、授業ですが、やはり全体の授業の流れ、つながり、がちょっと分かりにくかったという印象を持ちました。挨拶の場面とその次に続くスモールトークから生徒同士のペアワーク。ここは、ねらいを明確にして、その授業の目標と関連させる必要があります。ペアワークを中学生が行う場合は、ある程度準備が必要です。つまり、活動をかなり明確に設定しないとうまくいきません。
What did you do in your New Year holidays?
だけでは、会話が成立しないでしょう。想定する会話を考えて、モデルを示し、活動を行うようにします。どうしてかというと、クラスの全員が楽しまないとその後の授業に意欲が湧かないからです。授業のはじまりで盛り上がらないとよい授業にならない可能性が大きいと思います。
たとえば、私でしたら、
A: Hello. How are you today?
B: I'm fine. Thank you. How about you?
A: Good. Did you enjoy your winter holidays?
B: Yes. / No.
A: What did you do?
B: I visited XX Shrine with my family* / I had a cold.*
(ワークシートにいくつかヒントを出す)
A: That's nice. / That's terrible.
B: Did you enjoy your winter holidays?
.....
というパタンを提示し、それからペアワークをします。目的は、後置修飾の分詞を導入する下地をつくることです。つまり、この活動を受けて、
Who visited a shrine on New Year's Day?
You did. Taro is a student visiting a shrine.
Who wrote New Year cards?
You did. Yoko is a student writing New Year cards.
Yes. I got a card from Yoko. I have the New Year card written by her.
などと、次の活動につながるように設定します。SJ先生は、whichをここで取り上げましたが、効率性からすると、分詞をそのまま出したほうがよかったと思います。
しかし、実際の授業では、想定どおりにいかない場合も多々あります。それでも、そういうことを準備することが大切だと思います。その点、SJ先生はよく考えていました。授業案にもよく表されていました。経験を積んで、工夫を積み重ねていけば、すぐにもっとよい授業ができるようになるのではないでしょうか。
あえて、もう一つ付け加えておくと、教えることの基本を確認しておくことをアドバイスしておきます。いままでのブログの中でも書きました。たとえば、
板書
教科書題材の扱い
教材研究
などです。
ぜひ英語の先生になってください。
20 SC先生の授業
SC先生は、中学校2年生の授業でした。テンポがとてもよい授業でした。英語と日本語が自然にコミュニケーションの道具として使われていたと思います。あえて、英語で授業をしなければいけないとか、英語をうまく使わなくてはいけないとか、そのような思い込みはなく自然でした。人とのコミュニケーションが上手で、生徒もその雰囲気に入ってしまうような感じでした。授業は生き物ですので、いつもそのようにうまくいくかどうかは分かりません。授業案をていねいに準備しておくことは当然必要です。
SJ先生と同様にペアワーク活動がありました。これについては生徒に丸投げしてしまうことは危険です。特に中学校2年生ではていねいな指示が大切です。中学校の授業では、かなり効率よく学習計画を立てることが、つねに要求されます。文法や訳読に偏ってしまう理由の一因は、そこにもあるように思います。つまり、復習は当然重要なのですが、復習ばかりしていたら、先へ進むことができません。また、教えることにおいて、復習活動はそれほど難しいことではありません。それよりも習っていない新しいことを教えるときの工夫が大切です。
授業案を考えるときに最も工夫を要することは、
生徒が知らないことをどうやって教えたらよいか
です。たとえば、次のような韓国語を初めて教える場合どうしますか?それも韓国語で教えるとしたらどうしますか?
안녕하세요
これが使われる状況をまず示し、音声を提示し、意味を確認し、文法を確認し、文字を確認し、練習をして、定着を図る、などと考えます。
あるいは、それぞれの文字と読みを説明し、訳と文法を教えて、あとは生徒が自分で学習する、などと考えます。
あるいは、。。。
私は、個人的には、まず音声と意味から入ってもらったほうがうれしいです。つまり、ことばを学ぶことは、コンテクスト(状況、文脈)がとても大切だと思っています。これは、例文を選んで生徒に提示する場合もいつも意識しておく必要があります。
This is a pen.
I am a girl.
という文がよく意味がないと批判されることがあります。その批判の意味は、実際にどういう場面で使うのかということです。でも、この表現も状況によっては当然必要です。ことばを教える場合はたえずそのことを意識しておくことが必要でしょう。
SC先生は、指導案もよく考えてあり、実際の生徒とのやりとりも上手です。私があまり述べる必要もなく、教育実習でも、同様の姿勢で授業を工夫すれば、生徒の信頼は厚いでしょう。ぜひ、実際に先生になっていただきたいと思います。
あえて一つお願いするとすると、
自分が如何に話さずに生徒に発話させるか、生徒の発話を促すか
でしょう。それと、やはり教科書の内容を最大限に利用して教えることでしょう。教科書内容からあまり離れてしまうと、生徒は混乱する可能性があります。生徒の「学び」を優先し、生徒が活動する場を与え、生徒がどう英語を学べば効率よく英語力が伸長するのかを考えることです。SC先生は、それがきっとうまくできると確信します。
だれにでも言えることですが、一人よがりにならずに、いつも試行錯誤をくり返し、よい指導法があれば、一つの教え方に偏らず、常に柔軟に対応し、考えることです。教育実習でもそうしてください。答えはたくさんあります。
21 SE先生の授業
SE先生は、教育実習をすでに経験しているので、落ち着いて授業ができていました。実際に教えることを経験することは、大切だと改めて思いました。高校1年生の授業で、具体的に生徒を意識しながら授業を進めていたと思います。しかし、授業案で想定したようには、やはりうまく行かなかったのではないでしょうか?
教科書が扱っている内容に焦点を当てることは重要です。英語の授業は単に文法や語句を教えることだけではありません。また、コミュニケーション活動をしていればよいというものでもありません。生徒の思考を考慮する必要があります。内容は彼らの思考や情意にも反映するもので、学習意欲とも大きく関わります。その点から、授業では、Yukina's messageに焦点を当てることは最も重要です。その内容をどのように英語を通して扱うかが、この授業のポイントです。多くの場合は、日本語で扱ってしまうと思います。日本語の詩があるわけですから、それは当然です。
おそらく、詩の朗読は日本語でよいと思います。ポイントは、そのメッセージの背景とそれをどう互いに考えるかでしょう。授業のポイントはそこにおく必要があります。ただ、SE先生もそうしようと指導案では考えたようです。しかし、教える言語材料の方に焦点があたりました。これは致し方ないです。
授業後にちょっと質問しました。発音記号についてです。発音指導はたいへん重要です。当然、正しい発音、きれいな発音を指導することは望ましいことです。先生はそうしなければいけないかもしれません。その点からすると、発音記号を先生が理解しておくことは大切です。生徒はそうでしょうか?英語のアルファベット自体で苦しむ生徒もいます。さらに発音記号をノートに筆記することは果たして必要でしょうか?発音記号も、教科書に使われている発音記号と英英辞典で使われている発音記号は同じではありません。発音記号が読めたとしても正しく発音されているかはどうかは別です。発音に馴染むためには、何度も聞いて、何度も発音するしかないように思います。この点は、しっかりと考えていく必要があるでしょう。
SE先生は、語句の指導をていねいにやっていました。また、予習などについても配慮していました。実際の指導では、そのような細かい指導が、実は最も大切です。授業はパフォーマンスではないので、信頼される先生はそのように生徒の「学び」をサボートできる人です。SE先生はそのことが分かっているようでした。ぜひ、先生になってください。
さいごに
本日の3人の先生でこの模擬授業は終わりです。都合21人が授業をしてくれました。ありがとうございます。目的は、様々な授業を見て考えることです。授業がうまくできたかどうかは問題ではありません。
授業は芸ではない
は、私の持論です。授業に「達人」は必要ありません。教師は目立つものではありません。パフォーマンスでもありません。たしかに、授業がうまい先生、面白い先生、英語の上手な先生、意欲を喚起する先生などなど、見習うべきすばらしい教師はたくさんいます。しかし、みなさんは、人のまねをする必要はないと思います。自分らしい授業をすればよいと思います。その際の「ものさし」は、
対象となる生徒 と 目的
です。目指すべき目標をしっかりと設定し、そこに生徒をどう導くかということが大切です。学習指導要領の外国語の目標は何でしょうか?
コミュニケーション能力の育成
です。英語が使えるようにすることが、やはり、目的です。多くの生徒にとっても望ましいことではないでしょうか?では、どうするか?
答えは簡単です。私は、生徒に英語を使わせる ことだと思います。使う機会を与えるためには、授業は、英語を使う環境であり、学ぶ場であり、理解を確認する機会である必要があります。
先生が話す、説明する、講義する場ではありません。
しかし、説明も当然必要です。そこをどう工夫するかが英語授業ではないでしょうか?
この続きは授業でしましょう。みなさんのレポートに期待します。
いつもながら雑文で失礼します。
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