2016年7月4日月曜日

模擬授業5

授業は、ある時期から、目標を定め、綿密な計画のもとに、科学的な根拠に基づいて学習指導を展開し、適切な評価・測定をすることで、学習者にフィードバックすることを求められてきました。つまり、「〜すれば、〜するようになるだろう」と計画し、「実際に〜してみる」、その結果、「〜するようになった」という、

Plan      Do     See

が大切にされてきました。しかし、どうもそうではないのではないか?と思っています。もっと複雑だろう。授業に限らずなんでも世の中は複雑だなと思います。この授業では、何かを体系的に学ぶのではなく、そのプロセスを考えようとしました。

さて、感想です。

8 模擬授業8
N先生の模擬授業はあまりきちんと考えられていませんでした。たぶんこの模擬授業に対する優先順位が低い結果だと思います。もう少し模擬授業に対する意識付け、目標設定がしっかりしていれば、自分でも納得すると思います。それはそれとして、終わったことをどうのこうの言っても仕方がありません。このN先生の授業から、英語授業のあり方を考えましょう。

まずは指導案はなぜ必要か?です。指導案に書式はありませんが、伝統的にある形ができています。結局は、授業で、何を目的に、英語の何を、どう教えて、どう定着させて、どう評価するか、を、実際の展開を想定して、シナリオを描くことです。絵コンテと言っても良いかもしれません。問題はやり直しがきかないことです。よく授業は、演劇に例えられますが、必ずしもそうではありません。教師は、パフオマーではないし、役者でもありません。監督でもありません。教師は教師(教える人)です。また、主役ではありません。主役は生徒です。学ぶ人が中心です。学ぶ人のために教師は準備するのです。それが指導案です。いい加減であれば、いい加減な結果しか出ないでしょう。また、生徒の学びに自然な展開を提示しなければいけません。N先生は、指導案もそうでしたが、「教える」ということを想定していなかったと言わざるを得ません。それはN先生自身が一番わかっていることです。

次に、指導案よりももっと重要なのは教師の考え方です。英語教師は、英語の知識や技能が必要です。でもそれだけではダメです。その知識や技能がどうして形成されるかを理解している必要があります。その理解の基礎ができていると、実際の授業の際に、ただ説明するだけでは「教える」ことにはならないことがわかります。この生徒にはどう提示したらいいのか、どうしたら読む力、聞く力がつくのか、どういう活動をしたら生徒は話す力がつくのか、何をどうアドバイスしたら、書く力がつくのか、どうやったら意欲が湧くのか、などなど。このようなことは、ある程度の方法論は本を読めば理解できるでしょう。しかし、大切なことは自身の教える、学ぶ工夫を考えることです。N先生はやはりこの点をあまり意識していないで、表面的な活動をなんとなく模擬授業で展開しました。

授業では何度か言いましたが、模擬授業では失敗した方が良いということです。大切なことはなず失敗したのか?を考えることです。「次はこうしよう」と思うことです。教師に本当になりたい人は、その点を心がければいい先生になると思います。

N先生は教師としても十分ないい素養を持っています。が、教師は目指さないということなので、この程度にしておきましょう。ありがとう。

さいごに、8つの模擬授業を見て思ったことを述べて終わります。

今回は人数が少なかったのですが、その分、実践的には細かい点を考えることができました。今回は、あまり思い切った実験的な模擬授業はなかったのが残念ですが、私自身は、なぜ文法にこだわるのか少し疑問に思いました。多くの人が文法指導にこだわっていたようです。文法は確かに重要ですが、私には、コミュニケーション活動や英語を使う活動がもっとあった方が学習者には良いと思います。実際の教育実習ではそのような英語を使う(聞く、話す、読む、書く)活動をどう展開したら、学習者が英語を意欲的に学び、かつ実践的に学ぶようになるのかを工夫することが大切かなと思います。この点に多くの教師は悩むことが多いです。ぜひ考えててください。









模擬授業4

今年のこの授業は、時間をかけて模擬授業のふりかえりができるのでありがたいですが、その分、質が問われてしまうかもしれません。教師になろうと真摯に考える人とそうではない人ではやはり取り組みにも違いがあり、また、真摯に考えれば良い授業ができるかというとそうでもありません。大切な点は、模擬授業をした後どうふりかえり(省察)(reflection)を行うかです。

A reflective teacher

さて、感想です。

6 模擬授業6

H先生はいい先生になると思いました。先生という仕事が好きなのではないでしょうか。真面目に教えている印象が感じられます。もし先生になれば、きっと生徒に信頼される先生になるでしょう。

中学校3年生の授業をしました。「教える」際には、なんだかんだと言っても、自分の教えられた経験から抜けることはできないものです。真面目に考えれば考えるほど、どうしても典型的な英語授業の型に縛られてしまう傾向があります。文法や単語や訳すことの授業活動は大切なことですが、やはり、コミュニケーション能力の育成を目標にして学びの場を提供することを基本に考える必要があります。また、英語を学ぶ動機付けを生徒に提供することも教師の大きな役割です。H先生はそのことはわかっているようですが、どうしてもある思い込みから出ることができなかったかもしれません。文化を扱うとすれば、文法から離れても良かったでしょう。

この授業では50分ずっと授業ができません。そのため、授業者が実際にどのように指導案を作成し、模擬授業でどの場面に焦点を当て、実際に授業するかで、その人の特性や思い込みがある程度推測できます。特に多く見られる特性は、やはり、文法シラバスにとらわれていることです。H先生の授業もそうでした。もちろん、文化理解にも焦点を当てていますが、導入段階での文化知識の提供に限られた活動が中心で、文化間理解(intercultural awareness)の学びや活動にまではつながっていません。授業では、自分の海外体験を生徒に示し、それをもとにモンゴルの家を考え、自分が建てたい家を関係詞thatを使う活動につなげました。発想としてはとても面白いです。しかし、ちょっと無理があるような気がします。というか、不自然なつながりで多少苦しい活動と言ってもよいかもしれません。

指導案の基本的な考えは自分の授業のシナリオを作ることです。シナリオが頭の中だけの考えだけで作られるのは危険です。イメージだけが先行し、実際うまくいかない場合が多いのです。つまり、指導案の段階で実際にシミュレーションして、具体的な展開がきちんと明確に記述される必要があります。その詳細な案を削ってコンパクトにしたものが研究授業などで公開する学習指導案です。その詳細な準備がH先生の指導案には欠けていたと思います。

実際の模擬授業では、あれこんなはずではと思ったはずです。それはさて置き、模擬授業では簡単と思われる授業展開、例えば、新出語句の導入と練習、音読と意味理解の確認、教科書のPracticeなどの展開を実際に練習することは大切です。指示や手順を丁寧に行う練習を準備段階で徹底的にやると、授業の流れがわかるようになります。ぜひ何かの機会にやってみてください。

基本的な指導の場面を練習することは大切です。語彙などの指導はそれほど簡単なことではありません。基本的なことを教科書に沿って教えることが生徒には最もシンプルで親切な教え方となります。「教科書は読んで訳して説明し、他の活動をする」と考えることはあまり賢い選択ではありません。

何れにしても、一度行った授業をきちんとふりかえることが、次の授業への発展につながります。ぜひこの機会に、いろいろな文献に触れて考えてください。特に文化については知識を教えることだけでは不十分です。

ここでは、私だったら、

I'd like to visit Mongolia and stay in one (ger).

を発展させて、

Look at this book. The book shows houses in Asia. Which country do you want to visit? What type of house do you want to stay?

などとしてアジアの家を見せながら活動します。

関係詞は、これとは別に、

I have several books here. Look at this book. It shows animals. I have a book that shows animals. And look at this book. It is written in English. I have book that is written in English.

OK. Get one book and explain it to us, saying, for example, "I have a book that ....."

などの活動をします。

いろいろと考えることは楽しいですね。ありがとう。

7 模擬授業7

W先生は、とても良い個性を持っていますが、正直に言うと準備不足だったと思います。教育実習に行くとしたら、もう少しきちんと考えて授業をしていただきたい。というのは、やはり教科書の目標を丁寧に理解して展開すべきです。たとえば「自分の意見をまとめて言う」というのは、教科書が示しているような英文を書き、言える、ことです。単に自分の将来のことを言うだけでは授業とは言えません。

まず単元目標や本時の目標がいい加減でした。おそらく真剣に考えていません。厳しいようですが、それが授業全体が何を目的として行われているのかよくわからない大きな原因です。教育実習では絶対にやらないでください。板書も同様です。その場で考えているので、かなりいい加減でした。

頻度を表す副詞も大学生が考えるには面白いかもしれませんが、中学生が考えるには具体例もないので、あまり建設的で実践的な活動とは言えません。実際に事例を示したコミュニケーションの場面を提供すべきで、どのくらいの頻度か具体的に理解できるようなコミュニケーション活動をすべきです。

まず、W先生は、英語授業は、教科書の日本語の意味を理解する、語句や表現を覚える、という、伝統的な文法訳読と考えています。それにとってつけたように、英語の質問に答える、あるいは、対話を行う、と考えているようです。実際には教科書の部分は省略して、他の活動を模擬授業では行いました。たぶん「英語で授業をする」という縛りから、そのような意思決定をしたのでしょう。

ところが、英語の授業の目標は、「コミュニケーション能力の基礎を養う」ということです。このことをきちんと理解していないのかもしれません。その点をよく考えてください。これはそれほど難しいことではありません。教科書にある言語材料(語彙、発音、文法など)を丁寧に教え、生徒の学びを促せば良いのです。教科書に沿って活動を考え、手順をきちんと考えれば自ずと変わるはずです。

問題は、W先生が準備不足でいい加減な授業したことです。教育実習では丁寧にお願いします。生徒がかわいそうです。それでも、面白いことに、W先生の授業は、終わってみると、それほど悪い印象を与えませんでした。これは不思議ですが、やはりW先生の特性であり、良さだと思います。教師という職業に関心を持って、教えることの楽しさが分かれば、このような授業はしないはずです。模擬授業ということで手を抜いたと考えられます。

今後に期待します。

以上です。早いものであと1回の模擬授業となりました。あれこれと強制しても、人にやらされたことは、それでおしまいです。失敗してもその後にその失敗をどう考えるかです。教えることは、スポーツをすることでも、芝居でもありません。地道な一つ一つの活動です。目標は、たった一つの授業が成功するかしないかではなく、長い目で見た「学び」のきっかけを培うことです。教師の面白みはそのあたりにあると思います。

乱筆乱文はご容赦ください。








2016年6月25日土曜日

模擬授業3

湿気がすごくて嫌な1日でしたが、本日二人が模擬授業をしてくれました。回を重ねるにつれ、指導案も授業の要領もうまくなっていくのを見るのは嬉しいものです。また、自分の個性を生かす工夫がそれぞれ感じられて、これまでのどの模擬授業も見ていて参考になります。

この授業は、いかに授業を成功させるかというよりは、実際に教育実習に行った時に、あるいは、将来英語授業を中学校や高校で教えるにあたり、どのように授業を実践していくかのプロセスの基本を理解することです。うまく行ったか行かないかよりも、どう考え、どう準備し、授業の際にどう判断して、その後どう省察したか、です。みなさんのレポートに期待します。

さて、コメントです。

4 模擬授業4

K2先生、高校2年生のEnglish Communication2の授業を行いました。実際、多分学習指導要領が意図した内容にほぼ近い授業だったと思います。展開も、挨拶、復習、新しい学習内容の導入(語句、本文内容の確認)、コミュニケーション活動、まとめ、となっていて、典型的なものです。授業の流れはもう一歩でしたが、基本的には、「英語で授業をする」「英語で思考する」「4技能を総合的に扱って活動する」「考えを述べる」などがあって、良い授業だったと思います。

ただ、現実的には、もう少し丁寧な手順が必要で、それがないとうまく進行しないでしょう。進行しなくなると、日本語が使われ、従来の文法訳読に陥ってしまう可能性があります。要するに、K2先生の模擬授業はオーソドックスな授業なので、良い、面白い授業となる鍵は、生徒が英語を授業中にうまく使える環境を作ることです。英語が単なる学習言語ではなく、つまり、大学に行くためだけの知識ではなく、何かを学ぶための言語として機能しているかどうか。高校2年生ではそれが求められます。

高校生の英語の授業は、ヨーロッパなどで見ると、ほとんどがK2先生が目指しているような内容です。特に最後のWhen do you need to make a good choice in your life?などという質問は、確かに狙い通りで、答えを求めるものではなく、生徒にいろいろなことを考えさせる質問です。ヨーロッパなどでは、ディスカッションとかになるかもしれません。また、エッセイのテーマになるかもしれません。生徒は、この質問に答えるために、何かを読んだり、調べたりしなければいけません。

これは、いわゆるアクティブ・ラーニングにもつながるし、生徒にとっては、大学の学習や将来の仕事にもつながります。言語の学習は言語習得だけにとどまるようではあまり意味がありません。その意味でK2先生の教える姿勢は良いと思います。

教師は自分の個性を生かすべきで、誰かの真似をする必要はありませんが、望むべくは、明確でわかり易い指示でしょう。生徒の発言はよく聞いていて、やりとりも上手です。皆さんも指摘した通りです。授業がうまく行かないときは、だいたい指示が明確でなかったり、生徒に対する対応がいい加減だったりする時です。その点を注意すれば、K2先生の個性は生きるのではないでしょうか?真摯な姿勢は生徒によくわかります。時折見せる笑顔も好印象でしょう。

結構教師は合っている職業かもしれません。自信を持って取り組んでください。ありがとう。

5 模擬授業5

Y先生の授業は大変よく準備された内容でした。授業展開も落ち着いていて、教師になって活躍して欲しいと思いました。高校1年生の授業内容としては多少難しい部分もあったように思いますが、展開次第ではうまく行くのではないでしょうか?これからの英語授業は、ICTの機能を最大限に利用する授業が望まれます。教科書内容だけを教えているだけでは、生徒は満足しないので、教師は可能な限り多くの周辺の情報を提供することが大切です。その意味で多くの興味深い内容が盛り込んであり、生徒の興味を適切に維持していくことでしょう。

授業案の展開はK2先生と似ていますが、出てきたものはかなり違います。高校生になるとどうしても内容が深くなりますから、あまり英語英語ばかりにこだわっているのは面白くないです。その点で、writers without borders の内容に焦点を当て、文学や言語を興味深く扱いました。ドイツ語を例に出して、多様な言語学習に興味を持たせることは、高校1年生には適切で、教科書教材の趣旨からして良いことです。

言語材料の扱いですが、授業をするときは、4技能、文法、語彙、発音、文化、内容などについてどう扱うかを考えるとそれほど大きな失敗はしません。文法、語彙は比較的明瞭に示されることが多いですが、教師としては、どこに重点を当てるかがポイントです。ここでは、関係詞、分祠、The fact (problem, ...) is that という表現です。その他語句はかなり豊富ですから何をどう扱うかです。Part 3では、おそらく、私だったら、Part 1と2で扱われた文法をおさらいして、語句に焦点を当てるでしょう。but, yet, howeverなどの表現も大切ですが、その場合は、論理的な思考を促す意味で扱えば良いと思いますが、もっと他に多様な表現があります。これらの扱う言語材料は、4技能の活動や内容と関連しますから、これが正解というわけではなく、教師の意思決定に委ねられます。

この教師の意思決定(decision making)は、授業ではかなり重要なことです。すでにこの授業では5人の人が模擬授業をしましたが、かなり違います。同じ教材を扱ったとしても、異なった授業になることでしょう。これは教師の思考と密接に関連するからです。Y先生は、その意味からかなり細かい点まで準備していました。教師としてはこの準備にどれくらい時間や手間をかけるかが、授業の良し悪しを決定づけます。かなり時間がかかったと思いますが、結果は良かったと思います。

ただすでに授業中も指摘があったように、discussion活動の部分は実際の高校生には厳しいです。より丁寧なアプローチが必要です。ただし、これは実際に生徒を目の前にすれば、多分対応ができると思います。Y先生はそのような感性を持っていると思いました。落ち着きがあり、生徒が安心して授業ができる。そのような雰囲気を持っています。

前回は中学生で今回は高校でした。それぞれの学年でかなりアプローチは変わるでしょう。しかし、自分の個性は生かすべきです。人の真似をする必要はありません。ただし、英語の授業は、やはり、英語という言語がコミュニケーションとして使えることを目標にすべきでしょう。そのことを考えて、授業の目標は、英語の何がどこまでできるようになったかを常に考えることが大切だと、私は思います。

ありがとう。面白くなってきました。次回も期待です。

乱筆乱文ご容赦ください。




2016年6月19日日曜日

模擬授業2

今年は人数が少ないこともあって、私の指示が不徹底だったようです。ここで補足しておきます。

まず指導案は、指導案テンプレートをこのページに貼り付けておきました。ちょっと簡潔すぎたのと、説明が不足したようです。次のことを考えて作成してください。


  1. 必ずしも指導案テンプレートにすべて従う必要はありません。「指導案はこのように書かなければいけない」ということはありません。
  2. 指導案は、1のことを考えて、指導案を見たら、どんな授業になるのかわかるように書いてください。教師の指示、生徒の発話、活動内容、言語材料、評価方法など。
  3. 英語で書く必要はありません。(もちろん書いても良いですが)
  4. 一応英語で授業をすることを念頭にして、指導案には英語使用の例を具体的に書いてください。
  5. 指導案は、教育実習の研究授業を意識しての練習です。不明な点があれば質問してください。
授業は、やはり「コミュニケーション能力の育成」で、「英語の授業は英語で授業をする」という方針を理解して展開してください。

では、コメントです。

2 模擬授業2

U先生は、中学校2年生の授業をしました。自分では文法を中心とした授業を受けたことがないということで、U先生がイメージした文法学習の活動を模擬授業で選んだようです。英語はおそらく問題なく、美声でよく通る声ですので、中学生に話すときは、少し明確にゆっくりと話すとよいでしょう。指導案については上記の通りです。今後よく学習してください。

50分のうちどこを模擬授業とするかで少し悩んだようです。いくつかの活動をスキップして、「ここはこのように展開したと仮定して」ということで指導案のある活動を選んで模擬授業として展開しました。これは、意外と難しく、教育実習での実際の授業ではそうはいかないことと、授業は流れなので、やはりある部分を通してやった方が授業の流れは掴みやすいでしょう。

大学で行う模擬授業はプレゼンテーションとは違います。やはり、重要な課題は生徒とのやりとり(interaction)です。プレゼンテーションとなると、ただ話し、説明すればよいなってしまいます。実際に展開はそうなってしまいました。これは、指導案を考える上で、生徒の学習活動や言語活動を具体的にどうするかを想定すれば、一人で一方的に話すということはなくなると思います。

文法の指導にこだわったということなので、文法指導について触れます。Grammar teachingは英語教育ではやはり最も重要な指導です。が、U先生は文法指導は、塾とか受験指導とか一般に市販されている学習文法書からくる「思い込み」が強いのではないでしょうか?現在の主流は、前のブログでも触れましたが、CLTの枠組みで実施されるgrammar teachingです。接続詞とは?という説明ではなく、接続詞はどのように使われ、どう使うかということを、PPPで展開することが伝統的なCLTの指導法です。

チャレンジするということであれば、このような展開を頭において、文法指導を、文法理解が実践的に進むような活動にして、考えるべきだろうと思います。学習文法書などで説明されていることはまちがってはいませんが、目の前に中学生や高校生がいたときには、いかにわかりやすく指導するかが大切です。説明や文法ドリルだけでは必ずしもわかりやすいとは限りません。コミュニケーションの場面を想定して、実際に使用される場面を提供することにより、理解は促進されます。

英語授業は、「教える、説明する、問題をやる」と考えると、あまり面白い授業にはなりません。生徒が喜ぶのは、英語を使ってコミュニケーションすることです。ごく普通の公立学校の生徒は英語に触れることがかなり少ないので、授業ではその機会を可能な限り作ることが大切です。また、情報を整理してわかりやすく提示することも大切です。「予習しているからわかる」「すでに習ったからわかっている」では、親切ではないかもしれません。

U先生は、よく考えていて、とても親切なので、ちょっと観点を変えるだけで十分良い授業を展開できると思います。ますます研究してください。ありがとう。

3 模擬授業3

K先生も中学校2年生の授業でした。が、アプローチが違いました。K先生もとても親切で教具や教材をよく準備しました。手作りというのは生徒はとても喜びます。プリント(handout)などよりもはるかに力があります。できる限り「手作り」はやってみてください。それと「本物(authentic)」も大切です。そういう気持ちを持ち続けると、教師としては多分大きく間違うことはありません。

指導案については、上で述べたとおりです。教育実習やこれからの模擬授業では改善してください。K先生は、ときどき面白いことを言っていました。それは結構大切です。例えば、Nursing homes use robots these daysという教科書の英語に対して、「実際は違う」ということをちょっと言っていました。このようなcritical thinkingはとても大切です。中学生もそう考えるかもしれません。

Ken says, "Nursing homes use robots these days." My mother is working at a nursing home, but it doesn't have any robots. She is very busy and has a lot of things to do there. She wants robots or more people. She wants to have robots.

など、英語でさりげなく言ってみたらどうかと思います。教師が普通にやさしい表現を使って英語を使えば生徒は英語に触れて、英語を使う気になります。

指導案を見る限りでは、PPPが意識されていたようですが、実際の授業ではそのあたりがうまく展開していませんでした。これはやはり授業を流れ(procedures)と捉えて練習を重ねることが大切です。教育実習では、その流れを学ぶことが主になります。特に英語を使って授業をするということを前提にすると、それが教育実習の大きな目的となります。

U先生と同様、模擬授業でもその展開を一通りやってみる必要があったと思います。ただ、授業はとても工夫してやっていました。これは必ず次の授業に生きます。実際に本日やった授業を、英語でするという前提で、もう1、2回通してやってみると、問題がわかって改善され、結構うまくいくと思います。

特に、want to doは説明したり文法ドリルをするのではなく、実際のコミュニケーション活動を生徒がすることで簡単に定着するはずです。読み、聞く、話す、書く活動を授業でタスクとして入れることです。簡単に言えば、教科書にあるPracticeを展開すれば良いのです。

さいごに、語句の導入ですが、語句の指導の基本は3つです。意味、スペル、発音です。これは丁寧に指導することが大切です。フラッシュカードを作成したのは良かったのですが、その活用の工夫が大切です。

語彙の提示 ⇨ 語彙の理解 ⇨ 語彙の練習 ⇨ 語彙の使用

これがコミュニケーション活動として展開する必要があります。

乱筆乱文であちらこちらに間違いがあると思いますが、ご容赦ください。笹島のメモとして、皆さんがレポートを書く際の参考にしてください。







2016年6月12日日曜日

模擬樹業1

今年は、例年の授業と違い、形式も内容も変えました。理由は、人数が少ないことと、実施時期が違うということです。そうすると不思議なことに、同じことをしているつもりでも、結果はかなり変わってしまうようだと思います。

まず、一つは、指導案です。指導案は「授業をどう展開するのか?」という計画書です。細かく設定しておく必要があります。特に、初期段階の場合は、実際にシミュレーションする必要があります。ぶっつけ本番は危険です。なぜかと言えば、生徒にとってはその授業は一度きりで貴重な時間だからです。

英語授業の基本的な構成は、別のところに書いてありますが、下記の通りです。指導案はもちろん日本語でかまいませんが、ここでは英語で説明してあります。同じです。

Lesson structure
Basic teaching procedures for one lesson
導入
1 Greetings / Attendance
2 Warmup activities
3 Review work
展開
4 Introducing today's learning points
4.1 Presentation of key points (sentence structure, grammar, culture, topic, etc)
4.2 Vocabulary (words and phrases)
4.3 Practice for understanding (repetition, etc.)
4.4 Practice for use (interaction, etc.)
4.5 Listening to and reading the text (reading aloud, etc.)
4.5 Checking comprehension (Q and A)
5. Production activities
整理
6. Consolidation (summary, note taking, homework, etc.)

その点を考慮して、模擬授業1にコメントします。

模擬樹業1

I先生は、元気があり、気持ちがあり、力があり、教師としては望ましい人だと思いました。教師にになればおそらく良い先生になることは間違いないでしょう。正しい、授業に関して強い自分が経験した教師像があります。それは、教師というのは「教える人」「英語の勉強は、扼すこと、文法を理解すること、英語が使われる背景を説明し興味を持ってもらうこと」などなどです。どれも大切なことで、日本の多くの英語教師(特に高校の先生)が実際やっています。

しかし、英語の授業はそうであってはいけないということを、多くの英語教育のリサーチが示しています。ぜひそのことを理解してもらいたいと思います。多くの文献があります。ぜひ勉強して欲しいです。一例に次のような文献がウェブにあります。

Communicative Language Teaching 

さて、授業はとてもテンポが良く、目標も明確でしたが、生徒役の人が指摘した通り、英語の授業?という疑問です。英語の授業の目標は、「コミュニケーション能力の育成」です。さらには、中学生であれば、英語力の到達目標は、CEFRでA1です。

A2
Can understand sentences and frequently used expressions related to areas of most immediate relevance (e.g. very basic personal and family information, shopping, local geography, employment). Can communicate in simple and routine tasks requiring a simple and direct exchange of information on familiar and routine matters. Can describe in simple terms aspects of his/her background, immediate environment and matters in areas of immediate need.

英語の授業の基本は、これを育成するための「活動」を行うことです。その活動ををどう工夫するかです。そのために教師は英語を使い、生徒を英語に触れさせることです。

しかし、I先生はとても面白い観点で英語授業をしました。それは教科書が扱っている題材内容、背景です。アメリカの黒人差別(公民権)という問題です。Martin Luther King Jrを取り上げています。私だったら、模擬授業では、取り上げた次のパートを扱います。活動しやすいからです。また、同じ場所だったら、もうちょっと具体的に事例をあげて、現在も起きている問題から、英語でやりとりしながら導入します。その際には、相当の教材研究をして素材を調べて、使える英語を整えて丁寧にやります。

I先生は実際そこまでの準備をしていないと思います。教育実習ではぜひ生徒のために、英語を生徒が使える(学ぶ)授業をしてもらいたいと思います。

授業の際にも言いましたが、授業を作る観点はとても良いので、ちょっと変えるだけで英語授業を大きく変わります。その素養を十分に持っています。ただ単に教員免許状を取得するためだけに英語科教育法を学ぶのではなく、この機会に真剣に探求してください。それは必ず他のことにも役立ちます。

ポイントは、

1 生徒が英語に触れる・使う機会を作る
2 先生が日本語で説明する時間を少なくする
3 コミュニケーション活動を工夫する
4 文法や訳を指導することが英語の授業ではない
5 文化は説明するのではなく、考えさせる
6 多くのことを教えるのではなく、言語活動する機会を与える

です。ありがとう。考えさせる授業でした。


2016年5月28日土曜日

2016年度の本授業

2016年度は、少し例年と事情が変わりましたので、少し変更して模擬樹業を考えます。でも、とても良い環境ですので、ゆっくりと英語授業を思考しましょう。

実際の授業はかなり複雑で、授業を評価する視点や価値や基準は明確ではありません。授業のテクニックやノウハウはあちらこちらの書籍で示されています。また、授業研究会もあります。推奨される指導法もあります。良い授業を見てそれをまねるということが手っ取り早い授業改善の方法かもしれません。しかし、それだけではありません。

授業は面白いと考え、探求することが、教師冥利だと、私は考えています。授業の仕方を誰かから教わるという、「伝授する」「達人に成る」などという発想ではなく、その根底にある「授業の思考」を考えましょう。

この授業でその授業の思考のプロセスがともに学べれば大成功です。楽しみにしています。